カンパニー・メン

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失業の怖さ。“隣の芝生”が青く見えはじめた人に観てもらいたい映画

2011年製作  アメリカ  113分

監督

ジョン・ウェルズ

 

キャスト

ベン・アフレック  ケビン・コスナー  クリス・クーパー  トミー・リー・ジョーンズ  ローズマリー・デウィット  マリア・ベロ

 

撮影ロケーション・情景

ボストン インテグレイション企業  リストラ アメリカ郊外  ポルシェ 就活・起業

 

カンパニー・メンのあらすじ

GTX社解雇

ボストンに暮らすボビー・ウォーカー (ベン・アフレック)は年商120億ドル規模のインテグレイション企業GTXで販売部長として働いていた。ボビーは37歳という若さであるが年収は12万ドル。郊外には噴水付きの真っ白な豪邸を構え、愛車ポルシェで会社に通うというような華々しいし生活を送っていた。しかし2008年に起きたリーマン・ショックの影響でGTX社内の造船部門の業績が悪化し、大規模なリストラが敢行されボビーは解雇を言い渡されてしまう。

 

“リストラ空気”は瞬く間に社内に広がり、わが身を案じて戦々恐々とする雰囲気に社内は包まれていた。その中のひとりにフィル・ウッドワード (クリス・クーパー)がいた。フィルにはまだ学費のかかる子供が2人おり年齢的にも潰しのきく状況ではなかった。フィルは副社長であるジーン・マクラリー (トミー・リー・ジョーンズ)に「30年も勤めてクビニなるならここで銃を乱射してやる」と凄んだがボビーが解雇された事をジーンは知らされておらず、リストラは社長ジェームズ・サリンジャー -(クレイグ・T・ネルソン)の独断で行われたものだった。

 

翌日ジーンは社長ジェームズに「なぜ私に黙ってリストラを行ったんだ」と詰め寄った。ジェームズは「社員より株主に対して責任がある」と更なるリストラ敢行を示唆した。失業中のボビーは再就職支援センターに通い、職を探す日々を送っていたがボビーはすぐに再就職できるものと高を括っていて支援センターでのレクチャーにも本腰を入れなかった。

ある日そんなボビーの元をジーンが訪ねる。ボビーは今までもジーンに目を掛けられ可愛がられていた。ボビーのリストラを阻止できなかったジーンは済まなそうな顔をし「私は反対(解雇に)したがどうにもならなかった」と言い、代わりにロックヒード社とレイシオン社の面接のコネを作ってやった。しかしボビーはそんなジーンの気遣いを蹴りその場を立ち去った。

 

ウォーカー家の財政難

家に帰ると妻マギー(ローズマリー・デウィット)が家計のやり繰りに頭を悩ませていた。ボビーの収入が途絶えてしまった今、住宅ローン、矯正歯科医への支払い、夏に予定している旅行代金、ポルシェのローンなど、家計は苦しかった。マギーは再び病院で看護師のパートの仕事を始める覚悟でいたが、ボビーは現実を直視しようとせず、妻の職場復帰には賛成しなかった。

それから数日後ボビーは3M社という企業の面接を受ける。しかし前職と同じ販売部長の役職ではGTX社で貰っていた年収の半分くらいになってしまうため、ボビーはマーケティング部門長を希望した。しかしマーケティング部門長のポストは適任者の応募が多くそこに就く事は難しいと担当者が難色を示されると、ボビーは「僕こそ適任者だ!」と尻を捲りその場から立ち去ってしまう。またもや再就職支援センターに通う事になるボビーであったがボビーの希望に合致する仕事は中々見つからない。

 

ある日ボビーは妻マギーの兄ジャック(ケビン・コスナー)邸のパーティーに招待された。ジャックは建築業を営み職人を数名使っていた。ジャックがボビーに「仕事は順調か?」と聞くとボビーは「順調だよ」と答え見栄を張った。しかしジャックはGTX社の業績不振にまつわる記事を新聞で読んでいてボビーの失業は薄々察していた。ウォーカー家の身を案じたジャックは「困ったら俺が雇ってやる」と助け舟を出すも、過去の栄光を忘れられないボビーは「釘を打つ自分は想像できない」と折角の好意を無下にした。

 

社長ジェームズと副社長ジーンとの確執

社長ジェームズと副社長ジーンを柱とするGTX社経営陣たちは会社の立て直しに必死だった。ジーンはジェームズに建設中の新社屋と医療部門の売却を勧めるがジェームズは聞く耳を持たず再びリストラを敢行する方針を示し、次なる解雇者のリストを作るよう人事担当者に指示した。ジェームズの独裁的な采配に我慢ならなくなったジーンは「リストラは間違っている」とジェームズに警告するもジェームズは考えを変えようとしなかった。そんな中次なるリストラの候補として挙がったのが部長のフィル・ウッドワード (クリス・クーパー)であった。

フィルにはまだ学費のかかる子供が2人いて、年齢的にも潰しのきく状況ではなかった。ボビーの解雇を発端に社内に“リストラ空気”が広がり始めた時から、フィルはわが身を案じ戦々恐々とする日々を送り、ジーンに「30年も勤めてクビニなるならここで銃を乱射してやる」と凄んだ男である。

 

フィルとジーンの解雇

ボビーが職探しを始めて3カ月が過ぎた時の事である。ボビーはある人物からの推薦で、とあるベンチャー企業の面接をうけた。年収9万ドル+賞与という好条件で北東部の販売部長としてのポストを掴みかけたが、結局他の応募者にその座を奪われ、数日後内定取り消しの連絡がもらった。がっくり肩を落とすボビー。彼は遂に愛車ポルシェを売却した。

そんな中第2弾となるリストラ計画は着々と進められ遂にフィルも解雇された。ジーンはフィルの解雇を通告した人事部のサリー(マリア・ベロ)を呼び出し解雇を取り消すようサリー詰め寄った。サリーはジーンの愛人である。ジーンはフィルがリストラの候補として挙がった時からサリーに根回しをしていたがサリーは私情を挟まずフィルの解雇を敢行した。そしてサリーは社長ジェームズから預かった1枚の書類をジーンに見せた。それはジーン自身への解雇通告書であった。ジェームズにとって反目したジーンはもはや目の上のたんこぶに過ぎなかったのである。

数日後ボビーが通う再就職支援センターへGTX社を解雇された者たちが次々とやってきた。もちろんその中にはフィルもいた。フィルもボビー同様インストラクターから再就職のためのレクチャーを受けるが、高飛車に接するインストラクターに堪えきれなかった。

 

義兄ジャックの支え

一方ボビーは、住宅ローンの支払いにも事を欠く状況になっていた。ボビーはどんなことがあっても家を手放す事だけはしたくないと思っていたが背に腹は代えられず家を売却しボビーの実家に移り住むことになる。更に「釘を打つ自分は想像できない」と一度は断った大工仕事を義兄ジャックを再び訪ね雇ってほしいと頼み込んだ。本当に来たかというような顔をしながらもジャックはボビーを受け入れた。右も左もわからない畑違いの仕事にボビーは戸惑いながらもひたむきに取り組もうとするが、義弟とはいえジャックはボビーに厳しかった。ここからボビーの過酷な肉体労働の日々が始まる。

 

ボビーは少しずつ大工仕事に慣れ働きぶりも様になってきたある日、ジャックから初給料を貰った。封筒の中身を見ると少し余分に入っていた。ボビーがジャックに「200ドル多い」というとジャックは「計算ミスかな?」ととぼけた。彼の優しさである。

一方役員を解任され解雇になったジーンはこの先の身の振り方について息子に相談したりもしたが息子は「コンサルタント会社を起業してアドバイスでも売ったら」とおちゃらかした。笑い飛ばすジーンであったが実際は妻が家の売却を考えるほど深刻であった。

ジーンは自分のこともさることながらフィルの事も気遣っていた。心配したジーンはフィルを慰めようと彼に会いに行くがフィルは相当参っており、就職支援センターへも行かず昼間から外で酒に溺れる日々を送っていた。解雇が近所にバレぬよう妻から6時まで家に帰るなと言われていたからである。

ある日ボビーの元にシカゴのヘッドハンターからオファーが舞い込む。輸送業務の販売部長のポストである。ボストンからシカゴへは850マイルも離れているが今の生活から1日も早く抜け出したかったボビーは二つ返事で承諾した。意気揚々と面接を受けにシカゴに飛んだボビーであったがアポの日にちを1週間間違えていた。遠方のため出直せないので待たせて欲しいと告げるがダラスに出張中なので来週まで帰らないといわれた。肩すかしを喰らったボビーはシカゴの街で途方に暮れた。

 

フィルの自殺

フィルはある人物のツテである企業の海外担当の重役ポストに就こうと根回しをしていた。しかし海外出張の多いポストのため30歳以下の若者でないと難しいと断られ、「君を推薦したら会社で笑いものになる」とまで言われた。フィルは自分の不甲斐なさに失望した。

収入を閉ざされたままのフィルは娘の授業料や住宅ローンの支払いに迫られ自暴自棄に陥っていた。どうにでもなれとばかりに飲酒運転をし古巣のGTX社に汚い言葉を吐きながら石を投げつけるなどの悪態も着いた。そしてフィルは自宅のガレージで排ガス自殺をし命を絶った。

 

ボビーとジーンの新たな人生の始まり

ある日ジーンはGTX社に出向き社長ジェームズに声をかける。「元気にしてたか」と偽善者ぶるジェームズにジーンは「フィルの葬儀で会えると思った」とあげつらい、共に働いた仲間のクビを簡単に切る薄情さを訴えた。ジェームズが「慈善事業じゃない。仕方ない」というと、ジーンは「会社が傾きかけているのに未だ年収2200万ドルを得て保身に走るのはおかしい」と傲慢さを抗議したがジェームズは考えを変えなかった。ジーンはボビーを誘い海運事業の起業を決心する。フィルの死を無駄にしたくなかったからである。ジーンに誘われたボビーはこのままジャックの仕事を手伝おうか、ジーンについていくべきかジャックに相談した。ジーンからのオファーは報酬8万ドルでGTX社時代の半分である。ジャックはボビーに「その仕事に就け。君は大工に向かない」とボビーの背中を押した。そしてボビーとジーンの新たな人生が始まった。

 

カンパニー・メンのレビュー・感想

“隣の芝生”が青く見えはじめた人に観てもらいたい映画

人は誰でも仕事に慣れるとその仕事に就いた喜びや有難さを忘れてしまうもの。そしていつしかそれがおごりとなってプライドが先行し自分を過大評価してしまう。しかし自分を評価するのはあくまでも他人。自分が思う「自分」と他人が思う「自分」は必ずしも合致しないという事をこの映画は教えてくれます。

もし今の職場で“隣の芝生”が青く見えはじめ、安易な理由で転職を考えている人がいるとしたなら、そういう人にぜひ見てもらいたい作品です。

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