幸せがおカネで買えるワケ

成功者の“見てくれ”だけを真似ても、決して成功者にはなれない

2009年製作  アメリカ  96分

監督

デリック・ボルテ

キャスト

デミ・ムーア  デイヴィッド・ドゥカヴニー  アンバー・ハード  ベン・ホーリングスワース  ゲイリー・コール  グレン・ヘドリー  ローレン・ハットン

撮影ロケーション・情景

アメリカ郊外 大豪邸 マルチ商法 アウディ

幸せがおカネで買えるワケのあらすじ

とある高級住宅街に越してきたジョーンズ一家。 彼らは高価な調度品に修飾された大邸宅に住み、高級車を乗り回し、化粧品や家電、レジャー用品に至るまで身の回りにあるもの全てが高級思考。そんな彼らがここに越してきた理由はただひとつ。このエリアに住む人々の平均所得が10万ドルを超えている事にあった。

一家は住宅から、車、日用品に至るまで、ありとあらゆる製品を販売する企業の販売員で、自分たちの華麗な生活ぶりに憧れを抱かせ、バンドワゴン効果(集団帰属欲)を利用し、自社製品の販売促進を狙うのが目的だった。当然家族というのはダミーであり、全員組織に雇われた販売ユニット仲間である。

彼らの狙い目通り、近隣の人々は彼らに憧れを抱き、同様のライフスタイルを送ろうと一家の薦める商品を躊躇なく購入していく。

隣に住むすサイモンズ家の妻サマー(グレン・ヘドリー)はロバスチャン化粧品の販売員で、夫ラリー(ゲイリー・コール)と二人暮らし。ジョーンズ一家が隣りに越してきた縁で自分のセールスにつなげようと早速ジョーンズ家に引っ越し祝いを持参し挨拶に出向いた。もちろん引っ越し祝いの品はロバスチャン化粧品の新作サンプルである。ジョーンズ一家もカモがきたとばかりに一家総出で出迎え、仲のいい家族を演じた。

部屋に通してもらったサマーとラリーだったがサマーはロバスチャン化粧品を売りつけようと美貌の秘訣や肌管理の極意を力説するが、同様に化粧品を扱うジョーンズ一家の面々は“猪口才な”と言わんばかりのシラケ顔で彼女の話を聞き流した。

ジョーンズ家の佇まいの豪華さに目を見張るサマーに、スティーヴの偽妻ケイト(デミ・ムーア)は部屋を見てみる?とサマーを案内した。サマーは早速インテリアに興味を持ち憧れを抱き始めていた。

サマーたちも帰り、就寝に就こうとスティーヴが寝室に入る。綺麗にベッドメイクされたフカフカのベッドの前に来ると、スティーヴは幾重にも並べられていたクッションを床に投げつけ床に入った。寝室もご多分に漏れず、見込み客のためのデコレーションであり、実用的でなかったからである。

翌朝一家はきょう一日のスケジュールを確認し合った。娘役ジェニファー(アンバー・ハード)と、息子役ミック(ベン・ホーリングスワース)たちは、きょうが高校への初登校。スティーヴはゴルフ、ケイトは美容室とスケジュールを入れていくが、これらはすべて見込み客を作るための行為である。娘ジェニファーは初登校に遅刻。しかしクラスメイトたちとは直ぐに打ち解けた。

スティーヴがゴルフの練習をしていると、お隣さんのラリーが通りがかる。一緒にコースを回ろうとラリーはスティーヴを誘った。誘いを受けたスティーヴは、いずれラリーにニューモデルのクラブセットを売り込もうと先を目論んでいた。

一方ケイトは、美容室でオーナーのビリーと会話が弾み、ビリーは彼女の容姿端麗さや、一流品を持ち歩く振舞いに直ぐに興味を持った。ビリーはランチパーティーを開いてあげるとケイトにお膳立てをし、ケイトはそこで大がかりなセールスを企んだ。このようにジョーンズ一家のセールスが始まり、彼らは次々と売り上げを伸ばして行く。

ところがスティーヴに洗脳され、次第に浪費がエスカレートしていった隣人ラリーは、ついに経済的困窮に追い込まれ、自宅プールで浸水自殺を図る。自責の念に駆られたスティーヴはそこで自分たちの素性を世間に暴露した。スティーヴの裏切りにより、司法からの捜査を恐れたスティーヴ以外の3人は次なる街へと逃亡を謀る。

幸せがおカネで買えるワケのレビュー・感想

平均所得が10万ドルを超える高級住宅地 がシチュエーションとして設定されているとはいえ、ジョーンズ一家のみならず、近隣の豪華な邸宅が連なる風景には日本では考えられないほどの浮世離れした風情を感じます。あんな豪邸に住めるなんて羨ましい限りです。

日本で引っ越しとなると、面倒で煩わしいだけですが、輸送はもとより、家具や調度品のセッティングに至るまで、全て業者にやってもらうシーンには、まさに“金があれば何でもできる”を感じますね。

確かにセールスには心理学的な要素があって、ある意味洗脳も必要ですが、自宅にお客を招きホームパーティーをして商品をセールスするというビジネスモデルは、アメリカではある程度メジャーなんでしょうが、サマーがマルチ商法的な化粧品ビジネスに洗脳され、成功という言葉を呪文のように唱える様子は、アメリカ発祥の某ネットワークビジネスを想起させますね。

ラリーは結局あんな悲惨な結果になってしまいましたが、成功者の“見てくれ”だけを真似ても、決して成功者にはなれないという至極単純な事を、もっと普通に知っていて欲しかったですね。

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