ラットレース

ラスベガスを舞台とした純粋に楽しめるロードムービー

2001年製作  アメリカ  112分

監督

ジェリー・ザッカー

キャスト

ローワン・アトキンソン  ウェイン・ナイト  キューバ・グッディング・ジュニア  ウーピー・ゴールドバーグ  ブレッキン・メイヤー  エイミー・スマート  セス・グリーン  ジョン・ロヴィッツ  ジョン・クリーズ  キャシー・ベイツ

撮影ロケーション・情景

ラスベガス  ホテル  砂漠  ヘリコプター  ニューメキシコ

ラットレースのあらすじ

「勝者のあなたへ」と刻まれた不思議なコインを当てる8人の男と女

ギャンブルの街ラスベガスのベネチアン・ホテルで何気にスロットマシンで遊んでいると「勝者のあなたへ」と刻まれた不思議なコインを当てる8人の男と女。彼らは一同ベネチアン・ホテルのオーナーで大富豪のドナルド・シンクレア(ジョン・クリーズ)に召集をかけられる。

そこに集まったのはシカゴから友人のパーティのためにやってきたニック(ブレッキン・メイヤー)アメフトの試合で不手際を起し世間の目から逃れるためにやってきたオーウェン(キューバ・グッディング・ジュニア)、カジノで詐欺を働こうとやってきたコディ兄弟、生き別れとなった娘との再会のためにやってきたベラ(ウーピー・ゴールドバーグ)、休暇で家族サービスのためにやってきたピア一家、イタリアからやってきたお気楽男のエンリコ(ローワン・アトキンソン)らであった。

集まった彼らを前にシンクレアはここラスベガスから905キロ先のニューメキシコ州・シルバーシティへ最初に到着した者に200万ドルをプレゼントするというレースゲームを持ちかけた。ゲームのルールを適当に説明するシンクレアは「ルールは?」と問われるとシンクレアは「ルールがないのがルールだ」と答えた。200万ドルという大金欲しさに目を輝かせる彼らは我先にとホテルを飛び出し様々な手段を行使しながら200万ドルを手にしようとシルバーシティへと向かう。

ラットレースのレビュー・感想

ラスベガスや西部の大自然の余韻に浸りたくなったらこの映画!

ラスベガスが舞台となる映画はいくつもあるけれど、ラスベガスや西部の大自然の余韻に浸りたくなったらいつもこの映画を観ちゃいますね。それくらいラスベガスのホテル部屋の様子や空港、ネバダ砂漠の土加減に至るまで、ラスベガスや近郊の情景が詳細に起用されている映画です。こういう映画って今までありそうで中々ないんじゃないでしょうかね。一言で言って純粋に楽しめるコメディロードムービーです。

ストーリーとしては賞金200万ドルという大金を目指してニューメキシコまでレースを競うという内容ですが、昔、子供の頃観ていたチキチキマシン猛レースを思いだします。みんな真っ直ぐ素直に向かえばいいのに欲をかいてすぐ脇道にそれちゃう。。まあ、人間の脳みそなんて、所詮自分の都合のいい情報だけを良しとし、要らないと思う情報は排除しようとする傾向にあるから仕方ないんでしょうが。

Mrビーンで人気の出たローワン・アトキンソンは相変わらずおもしろいけれど、立って寝てしまうという病(ナルコレプシー)を患っていながら、そもそも1000キロレースなんて最初から無理なのに、でもその辺が馬鹿馬鹿しくて面白い。

イエスマン “YES”は人生のパスワード

“人生誰と出遭うか何と出遭うか”の重要性を気付かせてくれる映画

2008年製作  アメリカ  104分

監督

ペイトン・リード

キャスト

ジム・キャリー  ズーイー・デシャネル  リス・ダービー  -ブラッドリー・クーパー  ジョン・マイケル・ヒギンズ  テレンス・スタンプ  ダニー・マスターソン  フィオヌラ・フラナガン

撮影ロケーション・情景

ロサンゼルス 啓発セミナー ガソリンスタンド  スクーター  BMW3  銀行マン  公園  昇進  アメリカの片田舎  空港

イエスマン “YES”は人生のパスワードのあらすじ

すべてに消極的な“ネガティブ銀行マン”カール

ロサンゼルスで銀行に勤務するカール(ジム・キャリー)は3年前の離婚を引きずり全ての物事にたいして“NO”というネガティブな生き方をしていた。仕事上融資担当をしているが、顧客の融資申請においても全てにおいて“NO”と却下し、友人からのパーティーの誘いや社会人としての人との付き合いにもとても消極的だった。

ある日カールは銀行のエントランスで友人ニック(ジョン・マイケル・ヒギンズ) と遭う。ニックはカールに「イエスマンになって人生が変わった」といいカールにもイエスへ入会するよう怪しげなセミナーの冊子を渡した。

それから数日後、相変わらずネガティブ生活を送るカールはある日、友人ピーター(ブラッドリー・クーパー)とルーニー(ダニー・マスターソン)がやってきて、カールの人付きあいの悪さに陰口を言い去っていくという変な夢をみる。このままではいけないと自分を奮い立たせたカールは先日ニックから貰ったセミナーの冊子を思いだしセミナーに出かける。

セミナーではイエスの教祖的存在であるテレンス(テレンス・スタンプ)がイエスという言葉の大合唱と共に颯爽と登場する。テレンスはビギナー参加者であるカールに目をつけ彼の隣席にやってきて“イエスマン”につい諄々と説いた。そしてカールはテレンスからネガティブ思考を指摘され、今後一切“NO”と言わないよう誓いを迫られた。カールはテレンスの強引な言いっぷりに圧倒され、その場の雰囲気に押されるが、カールは“イエス”の誓いを立てるフリをしてその場をやり過ごした。

イエスのセミナーをきっかけにカールの人生に変化が・・

セミナーが終了し車で帰ろうとするとカールの元へホームレスがやってきて、エリシアン公園まで乗せて欲しいと言う。返答に困っていたカールの所に一緒にセミナーに参加していたニックがやってきて「もちろんイエスだろ?」と煽り付けた。雰囲気に流されカールは仕方なくホームレスを乗せると、今度は「ケータイ貸して?」や「お金貸して?」など、図に乗った要求を次々としてきた。「もうどうにでもなれ」とばかりにカールは彼の要求に全て“イエス”で受け入れた。

公園に着き、カールはホームレスを降ろし引き返そうとするが、途中で車がガス欠になり、仕方なくポリタンク片手に歩いて近くのガソリンスタンドへ。するとそこにスクーターに乗ったアリソン(ズーイー・デシャネル)が給油にやってきた。“イエス”セミナーの余韻で独り言をつぶやくカールを、もの珍しく感じたアリソンはカールの写真を撮った。彼女は写真が趣味だった。給油をしながら二人は会話を交わし気心を通わせる。給油を終えたカールはアリソンのスクーターに乗せてもらい車まで送ってもらうが、アリソンはスクーターを運転しながら片手運転でカメラを握り、夜の街を疾走する仲睦ましいふたりを自撮りした。

車の置いてある場所に着くと、カールはアリソンに恋心を囁き、アリソンはカールにキスをした。それからというもの、カールは美しいアリソンに出会えたのは“イエス”に参加した事で、ポジティブな考えを持つようになった自分の心の変化が幸運をもたらしてくれたものと思うようになり、次第に“イエス”の精神にのめり込んでいく。

 

イエスマン “YES”は人生のパスワードのレビュー・感想

気持ち的にとてもポジティブになれる映画です。大人に限らず小学生くらいの子供が観てもいいかなって思う映画ですが、ただ劇中カールと同じマンションに住むお婆さんとの下品な絡みがあるので如何なものかと?・・・

お婆さんの家の棚を作ってやったお礼は別な方法で表現して欲しかったですね(笑)。

この映画、自分の心の持ち方・考え方次第で人生は変わっていくという話ですがニックが「絶対後悔しないからセミナーに来い」とカールを啓発セミナーに誘いますが、カールは初めはその気にならない。ビジネスでも何でもそうですが、相手のためを思って言っているのに、相手がそれを理解してくれない事ってよくありますよね。たぶんそれは、その話が誰から来たのかという事がかなり関係しているように思います。

人生誰と出遭うか?何と出遭うか?というのはとても重要で、カールはニックと出遭い、“イエス”の精神を崇拝するテレンスのセミナーと出遭って大きく人生を変えました。巷では「〇〇すれば人生が変えられる」だとか「〇〇でお金の心配から解放!」みたいな話で溢れていたりするけれど、それらの中身の信憑性はともかく、どんなにいい話でも、その話が誰から来たのかというのが聞く人にとっては凄く重要で、どれほど凄い話であろうが、嫌いなやつから来た話なんて聞く気にもならないし、たとえ人生が変わる話だと分かったとしても「お前みたいな人間のフィルターを通して成功話を聞きたくない」というのが本音ではないでしょうか。だからこそ普段からの人との付き合い方って、凄く大切なんだって思います。

結局カールに“イエス”の話を持ってきてくれたニックという男の人間性がよかったからこそ、カールは耳のシャッターを開けたのだと思うし、自分のマインド次第で人生は変えられるという事を痛切に感じました。正にウイリアム・ジェイムズが言った

・心が変われば行動が変わる。

・行動が変われば習慣が変わる。

・習慣が変われば人格が変わる。

・人格が変われば運命が変わる”

といった所でしょうか。

ガンシャイ

リーアム・ニーソン&サンドラ・ブロックのラブコメディ

2000年製作  アメリカ  101分

監督

エリック・ブレイクニー

キャスト

リーアム・ニーソン サンドラ・ブロック  オリヴァー・プラット メアリー・マコーマック フランク・ヴィンセント リチャード・シフ  マイケル・ウェザリー

撮影ロケーション・情景

ニューヨーク 空港 FBI

ガンシャイのあらすじ

過去の潜入捜査でのトラウマに悩む潜入捜査官

18年間覆面捜査官としておとり捜査一筋に働いてきたチャーリー(リーアム・ニーソン)は新たな麻薬組織への潜入捜査のためニューヨークに派遣される事が決まっていたが、前回の潜入捜査でチャーリーは素性がばれてしまい、危うく殺されそうになった。チャーリーはその時のトラウマの恐怖から今回の指令を断り引退を申し出ようとするが上司であるロニーに聞き入れてもらえず仕方なくニューヨークへと向かう。

チャーリーはニューヨークに向かう飛行機の中でも精神的ストレスからくる腹痛に悩まされていた。そんなチャーリーに隣席に座る精神科医が声をかけ、それが縁となりチャーリーはグループセラピーに通う事になる。グループセラピーにはチャーリーの他数人が参加していたが、彼らが抱える悩みはチャーリーにとってどれも取るに足りない悩みに過ぎず、チャーリーが自分の悩みについて話し始めると彼らは悍ましい顔をした。

数日後チャーリーは侵入捜査を開始するが、組織の輩たちと接するにつれ再び激しい腹痛に悩まされる。チャーリーは治療のため病院に行くが、そこには“浣腸の女王”こと、美しく優しい看護師ジュディがいた。ジュディはチャーリーの慢性的な腹痛は“恐れ”からくる精神的ストレスによるものと瞬時に察し、薬に頼らず完治させる方法があると言ってチャーリーの治療を引き受けた。

ジュディの治療法はユーモアと優しさに満ち溢れた独創的な治療法だった。次第にチャーリーはジュディに癒されることで潜入捜査の恐怖に耐えながら犯罪組織の解明に迫っていく。

ガンシャイのレビュー・感想

肩の力を抜いて観ることができる映画

誰しも夢はあるもの。どんなにつらい立場にいたとしても、夢や希望があればそこに向かって頑張れる。そういう“気付き”みたいなものを随所に感じさせてくれる映画。「よし!観るぞ!」と力まなくても肩の力を抜いて観ることができ、それでいて映画としての面白さも、まぁまぁ備わっているという感じ。

サンドラ・ブロックがキャストと制作を兼ねていて、マフィアが絡む潜入捜査という設定でガンアクションもあるが、そのわりにはえげつなさがひとつもなく、コメディにありがちなわざとらしいジョークもないので、飽きることなく最後まで観れる。これは製作にかかわったサンドラ・ブロックの能才なのかもしれない。

サイコ・キラーと呼ばれるフルヴィオ(オリヴァー・プラット)はマフィアのくせにトマト栽培が趣味という茶目ぷりで、可愛く野蛮さがない。

そのフルヴィオが最後にマフィアの世界から足を洗ってイタリアでトマト農家に鞍替えし、赤々と育ったトマトを手に取り満足そうな顔で汗を拭うシーンは、エンディングに流れるBig Kennyの「Under the Sun」のサントラと相まって、とてもいい顔をしている。この清々しいフルヴィオに「お前、夢叶えたな」って思わず言ってしまった。

大災難P.T.A.

友情は何にも勝るという事を痛感させられる作品

1987年製作 アメリカ 92分

監督

ジョン・ヒューズ

キャスト

スティーヴ・マーティン ジョン・キャンディ ケヴィン・ベーコン ディラン・ベイカー

撮影ロケーション・情景

ニューヨークマンハッタン シカゴオヘア空港 シカゴ郊外 カンザス州ウィチタ ミズーリ州セントルイス アメリカのモーテル アメリカ感謝祭祝日

大災難P.T.A.のあらすじ

マーケティングの仕事に携わるニール(スティーヴ・マーティン)は化粧品の宣伝ポスターのプレゼンを行うためニューヨークにいた。しかし宣伝ポスター1枚に2時間費やしても決断を下せないクライアントにニールはイラつく。なぜならシカゴの自宅に9時までに帰りたいニールは6時発の飛行機に乗らなければならず、便に間に合わなくなるのではと気が気ではないからだ。

ポスター採用の承認を保留にされたまま会議室を後にしたニールは空港までのタクシーを拾おうとするが、感謝祭を目前にしたマンハッタンの街はラッシュアワーでタクシーを拾うのに苦労する。どうしても6時の飛行機に乗らないといけないニールはタクシー乗り場で順番待ちをする客に75ドルで順番を譲ってもらおうと買収を試みるが、隙を狙った巨漢の男にタクシーを横取りされる。奪ったのはシャワーカーテンリングのセールスマン デル(ジョン・キャンディ)であった。

デルにタクシーを横取りされ憤慨しながらもやっとの想いで空港に着いたニールは搭乗ゲートで飛行機を待つ。するとニールの目の前には先ほどタクシーを横取りしたデルが目の前にいる事に気付く。

ニールはデルに「タクシー泥棒」と抗議するが「どうりで簡単に拾えたと思った。盗む気はなかった。申し訳ない」と謝罪するがデルのその態度に誠意は感じられず、「もう済んだ事」と半ばあきれ顔。それよりも一刻も早く家路に着く事だけをニールは考えていた。

ところが天候によりシカゴ行きの飛行機の出発が遅れ、おまけに目的地のシカゴオヘア空港は雪で閉鎖されシカゴからは大分離れたカンザス州ウィチタで飛行機を降りる事に。同じ便に乗り合わせたデルも当然一緒で、そこから二人の災難続きの旅が始まる。列車、バス、レンタカーを乗り継ぐなど二人は行動を共にするが、潔癖症で堅物のニールは、やたらおしゃべりで、大雑把でデリカシーのないデルの事を心底好きになれず、もはや「腐れ縁」と諦め、仕方なく行き先を共にする。

しかしそんなニールも共に時間を共有していくうちに徐々にデルと心が通い合っていく。数日後、多事多難に遭いながらシカゴの自宅付近まで来たニールはデルと抱き合い、数日間世話になった事への感謝を告げ、ひとり電車に乗り家路と急ぐ。ニールは車中楽しかったデルとの思い出を回想していくが、今までのデルの数々の不可解な言動を思い起こすとある疑問が頭をよぎった。その疑問を確認するためにニールはデルと別れた駅に引き返す。するとそこには一人淋しく駅のベンチに座るデルの姿があった。  そしてニールはデルから衝撃の事実を告げられる。

大災難P.T.A.のレビュー・感想

映画にはあまり登場しないようなアメリカ東部のローカルな風景の描写が楽しめる

仕事先のニューヨークから家族の待つシカゴまで、様々な災難に遭いながら家路に向かうというロードムービー。アメリカ映画の風景にはよく燦々と陽が注ぐ西海岸のロサンゼルスあたりや、エネルギッシュな大都会ニューヨークなど、メジャーな都市が舞台となる事が多いのですが、この映画にはニューヨークはもちろん、普段アメリカ映画の風景にはあまり出てこないような東部のローカルな風景があちらこちらで登場するので、僕としてはとてもうれしいですね。

私事ですが1996年、生まれて初めて飛行機に乗り、成田を飛び立って初めて舞い降りた所がシカゴのオヘア空港だったんです。10月下旬であったために、雪こそ降ってはいませんでしたが極寒であった事は覚えています。寒さが半端ではなく、僕の住む関東圏では味わったことのない寒さでした。

話がそれましたが、そのオヘア空港がこの映画の冒頭、災難の発端となって登場しますので、当時アメリカから帰ったばかりの時期にその余韻に浸りたくて何度もこの映画を観て懐かしんだものです。

道中で出遭ったニールとデル、二人の人物のそれぞれの生き方

ニールとデルはある意味同じビジネスマン。しかしニールは帰りにファーストクラスの航空券を予約していたことから察すれば、そこそこのエリートなのでしょう。恐らく上場企業の部長か取締役クラスではないかと思います。

一方のデルは全米を飛び回りシャワーカーテンリングをセールスする口八丁の販売員という感じで、たぶん収入からすればニールの方が安定していて恵まれた環境下にいるのではと感じます。

そういった意味ではもし自分がどちらの立場で人生を送りたいかと問われれば迷わずニールの方と答えるでしょう。しかし、人生は仕事が全てではありません。特にこの作品を観ていると、二人は性格や物の考え方に対照的な違いがあって、どっちの人間になりたいか、どっちの人生が幸せと思うか、その答えを結論付けるのに少し考えさせられてしまうところがあります。

経済的にニールは恵まれているかもしれませんが、人にあまり隙を見せず、杓子定規で若干堅物なニールよりも、少々の事は気にせず、めげず、打たれ強く、しかも温厚で陽気なデルの方がある意味幸せなのかもしれません。

ぜひこの映画をご覧になる時そのあたりも勘えて観て頂くと面白いかも知れません。

そして何よりこの映画の観どころは、単なるクール男だと思っていたニールが家に帰りデルを「ぼくの大切な友達だ」と家族に紹介するシーンですね。結構涙出ますよ(笑)うれしくなります。。。。

またその時の家族の表情がすこぶるいい。雪降るシカゴは極寒ですが彼の帰りを待つ家族はとても暖かいんです。人の友情は何にも勝るという事を痛感させられる作品です。