ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

ニューヨークの住宅事情が垣間見れるほのぼのとした作品

2014年製作  アメリカ  92分

監督

リチャード・ロンクレイン

キャスト

モーガン・フリーマン  ダイアン・キートン  シンシア・ニクソン

撮影ロケーション・情景

ニューヨーク  ブルックリン  アパート

ニューヨーク 眺めのいい部屋売りますのあらすじ

アレックス・カーヴァー(モーガン・フリーマン)は画家をしながら愛する妻ルース(ダイアン・キートン)とブルックリンにあるアパートで暮らしてきたがエレベーターのないアパートで毎日5階まで行き来する事に負担を感じ、カーヴァー夫妻はアパートの売却を考え始めていた。

40年前、越してきたばかりのブルックリンは当時彼らの友人たちからも「ド田舎」と揶揄されるようなローカルな街であったが、近年は近代文明を象徴するアップルストアやオーガニック食品の店などが次々とオープンしおしゃれな人々がぶらつく街として名を馳せるようになり、カーヴァー夫妻の所有するアパートは100万ドルの値が着くのではといわれるほどになっていた。

ある日アレックスが愛犬ドロシーの散歩を終え部屋に帰るとアパートを売却するための内覧会を控えた妻ルースがその準備に追われていた。アパートの売却には不動産屋であるルースの姪リリー(シンシア・ニクソン)が絡んでいた。

ルースはアパートの売却に積極的であったが一方のアレックスは長年住み慣れた我が家を手放す事に少しためらいを感じていたため内覧会についても「物が盗まれる」「部屋を他人がいじりまわすのが気に入らない」などといって乗り気ではなかった。

そんなアレックスをルースが宥めていると廊下で具合が悪そうな愛犬ドロシーが寝そべっていた。ルースがドロシーを抱きかかえるとドロシーはキュンキュンと鳴きながら震えていたためアレックスたちは急遽ドロシーを動物病院へ連れて行く事に。この時も5階から階段でドロシーを抱きかかえて降りるルースは容易ではなくエレベーターのない事を改めてアレックスに嘆いた。

二人はドロシーを抱えタクシーに乗り込むが丁度その頃マンハッタンでタンクローリーが立ち往生する事故が起こり周辺道路は渋滞となっていた。

やっとの思いで病院に着くと獣医からドロシーが椎間板ヘルニアの疑いがある事を宣告されCT検査を勧められる。その時アレックスは検査費用を獣医に尋ねるが「みっともない質問はしないで」とルースに制された。

CT検査費用が1,000ドルかかると聞いたアレックスは躊躇するがルースは迷わず検査を承諾した。検査のためドロシーを一晩病院に預ける事になった夫妻は仕方なく帰るが、帰りの途中でも治療費の事で愚痴るアレックスとドロシーの安否を気遣うルースは口論になった。家に着いてもルースはインターネットで犬の椎間板について調べドロシーを案じてやまなかった。

内覧会に備えルースは部屋の隅々を掃除していた。しかし先ほどのタンクローリーの事故は単なる事故ではなくテロ事件であったため街の混乱は収まらず、掃除に精を出すルースに「内覧会には誰も来ない」とアレックスは呑気に構えていた。そもそもアレックスは自身が描いた作品をリリーから「ガラクタ」と揶揄されていたため気に入らず、今回の不動産売却にそのリリーが絡んでいたのでなおさらだった。

しかしそんなアレックスも自分のアトリエを整理している内に自分がルースに対して何を残してあげられるかを自問自答するようになり、今回のアパートの売却もルースの好きなようにさせようと考えるようになる。

そんな矢先、ルースの元に獣医から電話が入った。ドロシーが落ち着いたので明日朝一番で手術をしたいとの連絡である。手術は1万ドルかかるため獣医は施術の意思をルースに確認するが、あまりの大金に驚いたルースはアレックスに電話を換わり判断を委ねた。電話を換わったアレックスは「ドロシーの命が助かるなら何でもしてくれ」と獣医に答えた。

内覧会の当日、早速一組の夫婦が内覧に訪れた。夫婦は些事にこだわりケチを付けながら部屋を見歩いた。そしてアトリエで絵を描くアレックスの部屋に行くと「こんな質素な暮らしをするのも悪くない」と皮肉った。一組目の家族が帰り二組目の家族が内覧しに来た。

家族の娘がアレックスのアトリエにやってきて「どうして家を売るの」と尋ねる。アレックスは「言い質問だ」といったがその真意を答えられなかった。皆、勝手気ままにアパートを批評したがアレックスのアトリエだけは「眺めがいい」と誰もが誉めてくれた。

翌日不動産屋のリリーから昨日訪れた一組の家族がオファーしてきたと告げられる。価格は85万ドルという。価格の下落はテロ事件がいささか関係していた。85万ドルのオファーに売ろうか否か焦るルースにアレックスは「安すぎる。テロ事件が収まれば元の値に戻る」と待ったをかけた。

カーヴァー家に着いたリリーは87万5000ドルで交渉しているから今すぐ返事を欲しいと迫った。更に他からも88万5000ドルのオファーが入った。拝金主義が見え見えで、商売っ気をあらわに売却を急がせるリリーの態度にカーヴァー夫妻はいささか嫌気を感じ始めていた。

ニューヨーク 眺めのいい部屋売りますのレビュー・感想

派手なアクションシーンもなくストーリーとしても比較的シンプルな内容ですが相変わらずぶきっちょな生き方を演じるのがとても上手いモーガン・フリーマンと気取らない女性らしさを醸し出すダイアン・キートンの夫婦愛がいい。

映画そのものもさることながらアメリカニューヨークの不動産事情に興味のある人にとっても面白い映画だと思う。ただ街並みや情景はニューヨークといってもマンハッタンではなくちょっとばかり寂しいブルックリンが大半のロケーションとなっているのであしからず。

ストーリー的には老いを感じ始めた夫婦がエレベーターのないアパート暮らしに不自由さを感じはじめ、アパートを売却し新天地で暮らす計画を立てるという話。

日本とはレベルが違うアメリカの不動産事情

ただ、そのアパートに40年以上暮らしたという事は建設されたのはそれ以上前。それでもそのアパート物件の評価額が100万ドル(約1億円)っていうから不動産価値のレベルが違う。

アパートというと日本では「コーポ」的な1~2DKくらいの狭苦しい部屋を想像するでしょうが、アメリカの場合、アパートというと日本でいうマンションクラスを指し、賃貸となるとニューヨークの隣町ニュージャージー辺りでも1LDKクラス30万/月が最低家賃だそうで、それこそ日本だったら都内のタワーマンションに住めるくらい高価なのだそうです。(以前ニューヨークに旅行に行った時ツアコンの人が力説してました)

劇中でもカーヴァー夫妻が新しいアパートを探しに出かけるシーンがあり、部屋を覗くと天井が高いせいか「狭い」とされるお部屋も日本の「それ」とはレベルが違う事に驚かされます。

エンディングに流れるマンハッタンの景色も壮大で大都会ニューヨークを見せつけられた感じです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です