親子の絆を再確認したくなったらぜひ観るべき映画
2001年製作 アメリカ 108分
監督
エヴァ・ガルドス
キャスト
ナスターシャ・キンスキー スカーレット・ヨハンソン トニー・ゴールドウィン エミー・ロッサム
撮影ロケーション・情景
1950年代冷戦下のブダペスト(ハンガリー)、アメリカ亡命、ハンガリー郡部、60~70年代ロサンゼルス、70年代ブダペスト(ハンガリー)
アメリカン・ラプソディのあらすじ
1950年共産独裁体制のハンガリーから逃れるためにアメリカに政治亡命したある一家の実話です。
この一家には生後間もない娘ジュジーがいるのですがアメリカへ渡るための手続きに手違いが生じ、ジュジーを一緒に亡命させることができず、一時的に里親に預けハンガリーに置いてアメリカへと向かいます。無事にアメリカへと亡命を果たした一家は自由を手に入れますが1人残したジュジーのことだけが気がかりでなりません。
結局一家はジュジーを渡米させることができないまま時が流れ、ジュジーが6歳になった頃、八方手を尽くしアメリカ赤十字社の力を借りてジュジーをハンガリーから呼び寄せることに成功します。しかしやっと再会した時には6年もの年月が経ってしまっていたためジュジーの気持ちは複雑です。
いつかは別れを告げなければならない事は解っていながらも、本当の娘のように6歳まで溺愛し育ててくれた優しい農夫婦をジュジーは真の両親と信じて疑わず、本当の両親に会えたのにもかかわらず「ハンガリーに帰りたい、パパとママに会いたい」と悩み続けます。
そんなジュジーに父は「お前が大きくなって、その時にまだ同じ気持ちでいるならハンガリーに帰ってもいい。ただそれまでは実母をママと呼んでほしい」と告げます。そしてジュジーが16歳になった時、それが現実となり故郷のハンガリーに里親と再会する旅に出るのです。
アメリカン・ラプソディのレビュー・感想
この映画を観終わって知ったのがこの作品の監督エヴァ・ガルドスという人がジュジー本人であるという事。幼少期のジュジーがたった一人飛行機に乗ってアメリカに旅立つ場面があるのですが、ジュジーにとって、どんなに不安で心細かった事か、これが自分の子供だったらと思うと涙が止まりません。
そんな辛い思い出が蘇るであろうに、実体験を映画にする事は心情的に簡単ではないはず。どんなに悲しい記憶でも仕事とはいえ目をそむけないで再現しなければならない中、いったいどんな想いでこのシーンを撮っていたのでしょう。最後のクレジットと一緒にに映し出されるジュジーと母親の再会を果たした時の実写真が一層涙を誘いますね。
赤ん坊を祖国に置き去りにしてしまった親と、本当の娘のように育てた親。どちらの立場に立たされたとしても双方の気持ちが痛いほど分かるいい映画です。親子の絆を再確認したくなったらぜひ観て欲しい作品のひとつです。