大災難P.T.A.

友情は何にも勝るという事を痛感させられる作品

1987年製作 アメリカ 92分

監督

ジョン・ヒューズ

キャスト

スティーヴ・マーティン ジョン・キャンディ ケヴィン・ベーコン ディラン・ベイカー

撮影ロケーション・情景

ニューヨークマンハッタン シカゴオヘア空港 シカゴ郊外 カンザス州ウィチタ ミズーリ州セントルイス アメリカのモーテル アメリカ感謝祭祝日

大災難P.T.A.のあらすじ

マーケティングの仕事に携わるニール(スティーヴ・マーティン)は化粧品の宣伝ポスターのプレゼンを行うためニューヨークにいた。しかし宣伝ポスター1枚に2時間費やしても決断を下せないクライアントにニールはイラつく。なぜならシカゴの自宅に9時までに帰りたいニールは6時発の飛行機に乗らなければならず、便に間に合わなくなるのではと気が気ではないからだ。

ポスター採用の承認を保留にされたまま会議室を後にしたニールは空港までのタクシーを拾おうとするが、感謝祭を目前にしたマンハッタンの街はラッシュアワーでタクシーを拾うのに苦労する。どうしても6時の飛行機に乗らないといけないニールはタクシー乗り場で順番待ちをする客に75ドルで順番を譲ってもらおうと買収を試みるが、隙を狙った巨漢の男にタクシーを横取りされる。奪ったのはシャワーカーテンリングのセールスマン デル(ジョン・キャンディ)であった。

デルにタクシーを横取りされ憤慨しながらもやっとの想いで空港に着いたニールは搭乗ゲートで飛行機を待つ。するとニールの目の前には先ほどタクシーを横取りしたデルが目の前にいる事に気付く。

ニールはデルに「タクシー泥棒」と抗議するが「どうりで簡単に拾えたと思った。盗む気はなかった。申し訳ない」と謝罪するがデルのその態度に誠意は感じられず、「もう済んだ事」と半ばあきれ顔。それよりも一刻も早く家路に着く事だけをニールは考えていた。

ところが天候によりシカゴ行きの飛行機の出発が遅れ、おまけに目的地のシカゴオヘア空港は雪で閉鎖されシカゴからは大分離れたカンザス州ウィチタで飛行機を降りる事に。同じ便に乗り合わせたデルも当然一緒で、そこから二人の災難続きの旅が始まる。列車、バス、レンタカーを乗り継ぐなど二人は行動を共にするが、潔癖症で堅物のニールは、やたらおしゃべりで、大雑把でデリカシーのないデルの事を心底好きになれず、もはや「腐れ縁」と諦め、仕方なく行き先を共にする。

しかしそんなニールも共に時間を共有していくうちに徐々にデルと心が通い合っていく。数日後、多事多難に遭いながらシカゴの自宅付近まで来たニールはデルと抱き合い、数日間世話になった事への感謝を告げ、ひとり電車に乗り家路と急ぐ。ニールは車中楽しかったデルとの思い出を回想していくが、今までのデルの数々の不可解な言動を思い起こすとある疑問が頭をよぎった。その疑問を確認するためにニールはデルと別れた駅に引き返す。するとそこには一人淋しく駅のベンチに座るデルの姿があった。  そしてニールはデルから衝撃の事実を告げられる。

大災難P.T.A.のレビュー・感想

映画にはあまり登場しないようなアメリカ東部のローカルな風景の描写が楽しめる

仕事先のニューヨークから家族の待つシカゴまで、様々な災難に遭いながら家路に向かうというロードムービー。アメリカ映画の風景にはよく燦々と陽が注ぐ西海岸のロサンゼルスあたりや、エネルギッシュな大都会ニューヨークなど、メジャーな都市が舞台となる事が多いのですが、この映画にはニューヨークはもちろん、普段アメリカ映画の風景にはあまり出てこないような東部のローカルな風景があちらこちらで登場するので、僕としてはとてもうれしいですね。

私事ですが1996年、生まれて初めて飛行機に乗り、成田を飛び立って初めて舞い降りた所がシカゴのオヘア空港だったんです。10月下旬であったために、雪こそ降ってはいませんでしたが極寒であった事は覚えています。寒さが半端ではなく、僕の住む関東圏では味わったことのない寒さでした。

話がそれましたが、そのオヘア空港がこの映画の冒頭、災難の発端となって登場しますので、当時アメリカから帰ったばかりの時期にその余韻に浸りたくて何度もこの映画を観て懐かしんだものです。

道中で出遭ったニールとデル、二人の人物のそれぞれの生き方

ニールとデルはある意味同じビジネスマン。しかしニールは帰りにファーストクラスの航空券を予約していたことから察すれば、そこそこのエリートなのでしょう。恐らく上場企業の部長か取締役クラスではないかと思います。

一方のデルは全米を飛び回りシャワーカーテンリングをセールスする口八丁の販売員という感じで、たぶん収入からすればニールの方が安定していて恵まれた環境下にいるのではと感じます。

そういった意味ではもし自分がどちらの立場で人生を送りたいかと問われれば迷わずニールの方と答えるでしょう。しかし、人生は仕事が全てではありません。特にこの作品を観ていると、二人は性格や物の考え方に対照的な違いがあって、どっちの人間になりたいか、どっちの人生が幸せと思うか、その答えを結論付けるのに少し考えさせられてしまうところがあります。

経済的にニールは恵まれているかもしれませんが、人にあまり隙を見せず、杓子定規で若干堅物なニールよりも、少々の事は気にせず、めげず、打たれ強く、しかも温厚で陽気なデルの方がある意味幸せなのかもしれません。

ぜひこの映画をご覧になる時そのあたりも勘えて観て頂くと面白いかも知れません。

そして何よりこの映画の観どころは、単なるクール男だと思っていたニールが家に帰りデルを「ぼくの大切な友達だ」と家族に紹介するシーンですね。結構涙出ますよ(笑)うれしくなります。。。。

またその時の家族の表情がすこぶるいい。雪降るシカゴは極寒ですが彼の帰りを待つ家族はとても暖かいんです。人の友情は何にも勝るという事を痛感させられる作品です。

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