ラスト・ムービースター

ヘタな恋愛ドラマを観るよりも本当の愛が何かということを理解させてくれる

2017年製作  アメリカ  103分

監督

アダム・リフキン

キャスト

バート・レイノルズ  アリエル・ウィンター  ニッキー・ブロンスキー  チェビー・チェイス

撮影ロケーション・情景

ハリウッド メルセデスベンツ  ロサンゼルス国際空港  ナッシュビル モーテルデラックスホテル 老人ホーム  トランザム  加齢・年輪  過去恋愛の回想

ラスト・ムービースターのあらすじ

かつて大人気を博したハリウッドの稀代スター、ヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)は昔の勢いも鳴りを潜め、ハリウッドにある大邸宅に愛犬スクワントとひっそりと暮らしていた。

ある日スクワントを獣医師の元に連れて行ったヴィックは高齢スクワントの腎臓障害を聞かされ安楽死を勧められる。長年連れ添ったスクワントとの別れは辛かったが体に毒素がたまり苦しむスクワントの事を考えると安楽死を受け入れるしかなかった。

自宅に帰りスクワントのペットクッションを見つめながら心寂しく酒を飲むヴィック。

それから数日たったある日、ヴィックの元に国際ナッシュビル映画祭での特別功労賞の招待状が届く。過去の受賞者としてロバート・デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、クリント・イーストウッドなど錚々たる名優たちの名前が列記されていたが、映画の街ではないナッシュビルでの開催にヴィックは胡散臭さに難色を示したが俳優仲間のソニー(チェビー・チェイス)に強く勧められ渋々ナッシュビルへ向かう事を決心する。

出発の日、空港で搭乗手続きをしようとファーストクラスのカウンターに並んでいたヴィックはカウンタ職員に隣の列に移るよう指示された。映画祭から同封されていたエアチケットはエコノミーのチケットだったのである。かつての大スターヴィックにとってエコノミーでの移動は惨めそのものだった。

ナッシュビル空港に到着し、ターミナルの出口で主催者の迎えを待っていると一台の白いリムジンが横付けされた。これで少しはデラックスな気分に浸れると期待したヴィックだったがそのリムジンは既に別のお客が乗車していて肩透かしを食らう。するとそこに1台のポンコツセダンが止まり運転席から若い女性が降りてきた。ヴィックを迎えに来たリル(アリエル・ウィンター)である。

彼女はインチキ映画祭主催者ダグの妹で、リルはヘソだしのショートパンツに鼻ピアスという奇抜な風貌だった。

リルはヴィックを強引に車に乗せホテルに向かうがリルの運転は非常に乱暴でハンドルを握りながらケータイでメールを打ち対向車と衝突しそうになる。かつて数々のカーチェイスを演じてきたヴィックでもさすがに気が気ではなかった。やっとの思いでヴィックはホテルに着いたが一流ホテルを用意すると聞かされていたヴィックは目を疑った。そこはハイウエイ沿いにある一流ホテルとはかけ離れたしがないしがないモーテルだった。騙された事を確信したヴィックは「話が違う。すぐ空港に引き返せ」とリルに詰め寄るが「私は運転手を頼まれただけ」と取り合おうとしない。

散々な思いをしたヴィックは友人ソニーに電話をかけ愚痴をこぼすがソニーからは「せっかくの映画祭だ。デ・ニーロやイーストウッドのように楽しんで来い」といわれそのまま居残る事にした。疑心暗鬼のままリルに連れられ映画祭会場に着くとそこは“マクドゥーガルズ”というバーだった。中には“ようこそヴィック・エドワーズ”という垂れ幕が下がっており主催者ダグらはヴィックを歓迎したが、ここは案じたとおり映画祭とは名ばかりの単なるヴィックのファンクラブの集まりであった。

しかしヴィックはいかさまの映画祭とは分っていながらも自分をファンだといって讃えてくれる若者たちに精いっぱいの愛想を振りまき次第に彼らちと打ち解けていく。

ラスト・ムービースターのレビュー・感想

バート・レイノルズ最後の主演作品

「ラスト・ムービースター」というタイトルのとおり、この映画収録の約1年後にバート・レイノルズは亡くなってしまいました。渾身の力で演じきった彼の最後の主演作品なので非常に感慨深いものを感じます。このストーリーはかつての大スターが紆余曲折しながら人生を歩んできた彼自身のセルフパロディとして描かれています。

僕自身、バート・レイノルズといえば真っ先に浮かぶのが「トランザム7000VS激突パトカー軍団」や「キャノンボール」などのカーアクション。本編の中でヴィックがリルにノックスビルに向かわせようと無理強いし、キレたリルが過激にハンドル操作をするシーンがあるのですが、リルの顔が突然「トランザム7000・・」のバンディットの顔に切り替わり荒々しい運転をするバンディットにヴィックがスピードを落とすよう窘める場面があるんですが、このカットを作ってくれた事が凄くうれしいというか懐かしくなっちゃいます。(同じ人物でもこんなに変わってしまうものかと)・・・

またヴィックがリルを連れ一流ホテルに泊まろうとしたときフロントの女性にシビアな対応され「クリント・イーストウッドが来ても追い返すのか?」と言い返すシーンがあるのですが「クリント・イーストウッド」を引合いにだしたセリフが別のシーンでも何度か出てくるのでイーストウッドを結構意識していたんでしょうか。

愛が何かということを理解させてくれる作品

終盤、ヴィックが別れた妻シュルマンを訪ね、彼女を大切にしなかったことや、家庭を顧みず壊してしまった傲慢さを詫びる場面があるのですが、この時のヴィックの姿がすごく自然で、ヘタな恋愛ドラマを観るよりも愛が何かということを理解させてくれるし、遥かにピュアで美しいですよ。凄く清らかな気持ちで観終える事のできる作品です。バート・レイノルズよ安らかに~

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