マイラーに人生をかける独身男のコミカルドラマ
2009年製作 アメリカ 109分
監督
ジェイソン・ライトマン
キャスト
ジョージ・クルーニー アナ・ケンドリック ヴェラ・ファーミガ ジェイソン・ベイトマン メラニー・リンスキー ダニー・マクブライド ザック・ガリフィアナキス J・K・シモンズ
撮影ロケーション・情景
解雇通告 出張 空港 自己啓発セミナー マイラー アメリカン航空 ネブラスカ州オマハ ヒルトンホテル マイアミ デトロイト ミルウォーキー シカゴ
マイレージ、マイライフのあらすじ
CTC社で働くライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)は1年の大半を出張で過ごし全米中を飛び回るという超多忙な独身サラリーマン。彼の仕事は企業がリストラを行う際、相手の逆上を恐れ社員の首を切れない雇用主に代わり解雇を言い渡す事である。
月に数日しか自宅に帰らない彼は「空港が我が家」と公言して憚らず、この仕事をとても気に入っていた。移動は全て会社経費でビジネスクラス。ライアンはそんな特権を利用しマイレージを貯めアメリカン航空の1000万マイルの史上最年少達成者となる事を目標にしていた。
そんなある日、出張先のダラスのホテルでくつろいでいると、彼同様のマイラーアレックス(ヴェラ・ファーミガ)が隣席に座っていた。ライアンとアレックスはマイル貯めの極意について語り合っているうちに意気投合し男女の関係になる。
それから数日後、出張中だったライアンは社長グレゴリー(ジェイソン・ベイトマン)から急遽召集をかけられる。グレゴリーはアメリカ経済が史上最悪の不況にある中、自分のビジネスに更なる拍車がかかる事を見込んで、新たなビジネスモデルを画策していた。それはコーネル大学から才女として招かれたナタリー・キーナー(アナ・ケンドリック)の発案によるもので、年間250日以上を越える出張をチャットによる遠隔解雇システムに切り替える事で、経費を85%削減するという画期的な案件であった。
これにより解雇を言い渡すためわざわざ全米を飛び回る必要がなくなり、より多くのエリアで短時間で解雇通告を行う事が可能になるというもの。航空機を使う出張の恩恵でマイレージを貯めていたライアンにとって、これはお節介な発案であった。
この遠隔解雇システムの導入を決めていた社長グレゴリーに対し、ライアンは「この仕事の現実を分かっていない」と抗議した。するとそこにナタリーがやってきた。「私のアイデアいかがです?」と意気揚々とするナタリーにライアンは「チャットで俺をクビニしてみろ」とけしかけた。ナタリーの解雇シュミレーションにライアンは理路整然と反論し、ナタリーの解雇通告を論破した。甲斐なく落ち込むナタリーに対してライアンは「心理作戦を要する解雇通告の仕事はチャットでは不可能。本当にこの仕事を分かっているのか」とナタリーに駄目出しした。
その様子を見ていた社長グレゴリーは「出張を続けたいならナタリーを連れて実地教育をしろ」とライアンに命じ、ライアンは数日後ナタリーを連れてセントルイスへと向かう。
マイレージ、マイライフのレビュー・感想
オープニングで出てくる全米各地の風景を写した映像が面白く、この映画のテーマを簡潔に表現している感じでとてもマッチしてますね。
マイル貯めもあれだけ徹底すれば面白いんだろうとも思うし、この映画を観てマイル貯めに走る人が増えそう。
でもマイラーに人生をかけて最後に何が残ったのかといえば、それは単に“孤独”という寂しい二文字。ライアンはマイルそのものを貯める事が目的で、貯まったマイルを自分のためにどう使おうかという楽しみ方を知らなかったのが彼の悲劇ですね(最後は妹夫婦にプレゼントしましたが)
そしてライアンは結婚や家族というものに全く価値を見いだしていなかったけれど、ライアンがクビを切ってきた人たちの背景にはいつも家族がいて、アレックスにしても自分と同じ独身主義者だと思っていたら彼女にも家族がいて、さすがのライアンもこの時ばかりは孤独という寂しさに心をヘシ折れちゃったわけです。やっぱり人間て一人では生きていけない動物なんですね。