HACHI 約束の犬

心優しい主人の帰りをひたすら待つハチのいじらしさに只々涙!

2009年 製作 アメリカ  93分

監督

ラッセ・ハルストレム

キャスト

リチャード・ギア ジョーン・アレン サラ・ローマー ケイリー=ヒロユキ・タガワ ジェイソン・アレクサンダー

撮影ロケーション・情景

栃木県足利市の寺(設定は山梨)アメリカ東部郊外 ベッドリッジ駅(架空の駅)

HACHI 約束の犬のあらすじ

日本の映画『ハチ公物語』を現代のアメリカ合衆国東海岸の街に舞台を移して作られたリメイク版。

終末の夜、出張帰りに自宅近くのベッドリッジ駅を降りた大学教授のパーカー(リチャード・ギア)は駅ホーム内で迷う一匹の仔犬(秋田犬)と出遭った。気の優しいパーカーは「どうした?迷ったのか?」と優しく声をかけ仔犬を抱きかかえると、仕事の疲れも見せず飼い主を捜した。しかし辺りを探すも飼い主は現れず、仕方なくパーカーは駅員に「飼い主が現れるまで駅で預かってもらえないかと」頼むが、駅員は「一晩預かって飼い主が現れなければ保健所に引き渡す」と受け答えた。それではあまりにも不憫だと思ったパーカーは仔犬を自宅へ連れて帰る事に。

ところが、パーカーの妻ケイト(ジョーン・アレン)は過去に愛犬を亡くした悲しみのトラウマで「二度と犬は飼わない」とパーカーと約束していた。呵責を感じながら仔犬を抱きかかえケイトに見つからないようそっと家に入るが、やんちゃな仔犬の立ち振る舞いにあっさりとケイトに気付かれてしまう。「飼うつもりね?二度と飼わないって約束したでしょ?」と迫るケイトに「飼い主が見つかるまでだよ。明日朝起きたら飼い主を探すから」とその場を言い逃れ仔犬を外の納屋に寝かしつけた。

翌朝パーカーは仔犬の写真を載せたチラシをケイトに作ってもらい仔犬の里親探しをするが中々見つからず、保健所にも立ち寄って預かってもらおうともするが、保健所の対応は冷たいものだった。それでもパーカーは近所の書店やベッドリッジ駅内にチラシだけでも貼らせてもらえるよう申し入れ、また自身の勤務する大学の授業にも仔犬を連れて行き里親探しを続けた。ある日パーカーは友人である日系アメリカ人のケン(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)を訪ね仔犬を見せる。日系人であるケンはこの仔犬が日本犬の秋田犬である事や秋田犬の由来や歴史などにも触れパーカーに情報を授けた。そしてケンは仔犬の首輪についていた漢字の「八」という文字を見つけ日本語で「HACHI(ハチ)」と発音する事をパーカーに教えた。「八」という文字を気に入ったパーカーは仔犬に「ハチ」と名付けた。

相変わらず里親探しを続けるパーカーであったが仔犬に名前を付けたり一緒に寝たり、芸を仕込む様子に妻ケイトは呆れ顔をするが尋常ではないパーカーの溺愛ぶりに根負けしハチを飼う事を容認する。

パーカー家の一員となり時が経つとハチはパーカーの胸元あたりまで足が届くほど大きく成長していた。ある朝パーカーがベッドリッジ駅から職場に向かおうと列車に乗りふと窓外を見ると寂しそうにパーカーの姿を探すハチの姿があった。パーカーはハチに「なぜここにいるんだ。家に帰りなさい」と教えるがハチはパーカーの傍から離れようとしなかった。以来、毎朝パーカーは出勤する時に駅までハチを連れて行き、パーカーがベッドリッジ駅に戻る夕方5時にハチが改札出口で待っているという光景が何年も続いた。ハチはパーカーとの約束を守るかのように雨の日も風の日もパーカーの帰りを待ち続けその光景は近所でも誰もが知る見慣れた風景となっていった。

HACHI 約束の犬のレビュー・感想

愛犬者は幻影を追う

実は僕も犬を飼っているのですが、何を隠そう、この映画がきっかけで犬を飼う事を決心しました。それくらいこの映画に登場するハチ(秋田犬)は愛々しいです。不思議なのですがこの映画を観ているとハチと僕の飼っている犬とをどうしても重なり合わせ見てしまうんですね。そう、オーバーラップというやつです。

しかし、ハチは口元がスッと長い秋田犬。僕の飼っている犬はハチとは似ても似つかぬペシャンコ顔でブサカワ系のシーズー。顔も体格も全く違うのにどうしても重ね合わせて観てしまう。これは犬の姿を見る見方が、単に顔や姿というより、人格(犬格?)としての幻影を追っているからなのでしょう。

またこのハチが、なぜ日本からアメリカに渡ってきたのかという理由がストーリーの中になく、はじめは「不親切だなあ」なんて思ったりもしたのですが、そこはこの映画の脚本家さんの才腕なのでしょう。かえってそれがハチの薄淋しさを醸し出し、可愛いさを助長させています。

パーカーの優しさとパーカーの帰りをひたすら待つハチのいじらしさ

このパーカーという人の優しさはハチと出遭った冒頭の場面での「どうした?迷ったのか?」という言葉に溢れています。まあ、根っからの優しい人がこういう可愛いい仔犬を拾えば当然こうなるんでしょうが、見知らぬ駅で迷い犬となってしまった不憫なハチがパーカーみたいな優しい人に出会えたことに本当に嬉しく思えてきます。

犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」という諺もありますが、たくましく成長する事で立派にハチは恩を返していますね。終盤、大好きなパーカーを雨の日も雪の日も実直に待ち続けるハチの姿を見つけたケイトが「私も一緒に待たせて!」とハチに言葉をかけるシーンにはただただ涙です。

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